2024年11月21日。木曜日。
ふと、ぽっかりと時間が空きました。予定されていた仕事が急遽リスケになり、目の前には数時間の自由時間。
窓の外を見れば、晩秋とは思えないほどの穏やかな陽気。
「……これは、行くしかない」
釣り人の性(さが)でしょうか。体が勝手に動き出し、気つけば車に釣り具を積み込んでいました。
目的地は決まっています。熊本市内から車で40〜50分ほど。宇土半島の入り口に位置し、観光地「宇土マリーナ」のすぐお隣にある隠れた名スポット、赤瀬漁港です。
今回の釣行記は、単なる釣果報告ではありません。
139匹という狂気的な爆釣劇の裏で起きた「漁師さんからの警告(マナー問題)」、そして釣り場での「対人トラブル」、さらには「139匹の魚をどう食べるか」という食の戦いまで、全てを余すことなく書き記したいと思います。
長くなりますが、これから赤瀬漁港に行こうと思っている方、サビキ釣りを楽しみたい方には必ず役立つ情報も詰め込みましたので、ぜひ最後までお付き合いください。
この記事の目次
フィールド状況:赤瀬漁港のポテンシャル
現地に到着したのはお昼前。
この日の潮回りは、満潮からの下げ始めという、魚の活性が上がりやすいゴールデンタイムでのエントリーとなりました。
赤瀬漁港は、大きく分けて2つの顔を持っています。
- 外海側(テトラ帯・堤防外向き):潮通しが抜群に良く、青物やシーバス、タチウオなどの回遊魚が狙える一級ポイント。ただし、風の影響を受けやすく、足場が高い場所もあるため注意が必要。
- 内海側(港内・湾内):波が穏やかで、アジやイワシ、コノシロなどの小魚が溜まりやすい。ファミリーフィッシングやのんびり釣りたい派におすすめ。
当日のコンディションは、外海こそ北風が少し吹いており白波が立っていましたが、内海に至っては鏡のような平和な水面。
「近場の海で釣りでもしよう♪」という軽いノリの私には、うってつけの状況です。
今回の作戦プランはこうです。
- まずは手堅くサビキ釣りで豆アジかサッパ(ママカリ)を確保。
- 釣れた小魚を背掛けにして、泳がせ釣りでヒラメや青物などの大物を狙う。
- アタリを待っている間は、気分転換にライトショアジギングで広範囲を探る。
完璧な布陣です。頭の中ではすでに、座布団ヒラメを掲げている自分の姿がイメージできていました。
しかし、竿を出すその前に、釣り人として最も大切なことを学ぶ出来事に直面します。
【最重要】赤瀬漁港での「駐車マナー」について(漁師さんからの警告)
はやる気持ちを抑えきれず、私はポイントに少しでも近い場所に車を停めようとしていました。
堤防の付け根付近、漁具が置いてあるスペースの脇。「ここなら邪魔にならないだろう」という、自分勝手な判断でした。
車から降りようとしたその時、軽トラに乗った地元の漁師さんが通りかかり、声をかけられました。
『そこ停めるの?だめだよ。船の前はだめだから、こっちの広場に停めな。』
心臓がドクリとしました。
怒鳴られたわけではありません。諭すような口調でした。しかし、その言葉の重みはズシリと響きました。
言われてみれば当然すぎることなのです。
漁港は、私たち釣り人にとっては休日に遊ぶ「レジャー施設」ですが、漁師さんにとっては生活のかかった「真剣な仕事場」であり、戦場です。
- 船の目の前:緊急時に船を出せなくなる可能性がある。
- 作業スペース:網の補修や水揚げ作業の邪魔になる。
- 通路:大型のトラックやフォークリフトが通るかもしれない。
「少し歩くのが面倒だから」「荷物が重いから」。そんな私の甘えが、漁師さんの仕事を妨害しようとしていたのです。
確かに!確かにすぎるご指摘です。
ついついポイントに少しでも近いところに停めようと自分勝手な行動をしようとしていました。
これは猛省です。
私はすぐに謝罪をし、指定された少し離れた広場に車を移動させました。
数分歩くことにはなりましたが、むしろそのおかげで「地元の方のルールを守って釣らせてもらっている」という感謝の気持ちが芽生え、清々しい気持ちで釣りをスタートすることができました。
赤瀬漁港で釣り開始!神エサ「アミ姫キララ」の実力
さて、気を取り直して釣り開始です。
今回の釣り時間は3時間程度しかありません。短時間勝負のため、手っ取り早く釣果を得られるサビキ釣りをメインに据えました。
サビキ釣りで重要なのは「エサ」です。
通常、冷凍のアミエビブロックを解凍して使いますが、短時間の釣りだとブロック一つは多すぎますし、何より解凍の手間がかかります。そして何より…手が臭くなるのが嫌ですよね。
そこで今回投入したのが、私の最強の相棒です。
マルキュー「アミ姫キララ」
サビキ釣りメインじゃない時や、ファミリーフィッシング、ちょっとした隙間時間の釣りにおいて、このパック入りオキアミは本当に便利すぎます。
- 手が汚れない:チューブタイプなので、サビキカゴに直接「チュッ」と注入するだけ。スプーンも不要。
- 臭くない:アミエビ特有の腐敗臭が全くなく、なんならむしろ良い香り。フルーツのような甘い香りがします。車の中にこぼしても地獄を見ずに済みます。
- 集魚力抜群:「キララ」という名前の通り、キラキラした成分が入っており、視覚的にも魚を強烈に寄せます。
まさに神商品。今まで使って良かったものを紹介しときます↓
まずは外海でサビキ釣りを開始。足元に仕掛けを落としてみます。
すると…一投目から竿先がブルブルブルッ!と激しく震えました。
上げてみると、銀色に輝く魚体が4匹も連なっています。
サッパ(ママカリ)です。
そこからはもう、怒涛の入れ食いタイム。
ものの15分位の間に30匹釣れました。なんなら餌も補充せずに、キラキラ光るサビキの針を落とすだけで魚が食いついてきます。面白いように釣れるとはまさにこのこと。
ここで、私の中にあった「泳がせ釣りで大物」という計画が揺らぎ始めます。
『このまま100匹狙ってみようかな? 嫁さんもサッパの唐揚げ大好きだし。よし、100匹釣って驚かせてやろう!』
完全にスイッチが入りました。
その後も、あれよあれよと釣れまくり… 外海は堤防が高く、魚を引き上げるのが少し大変になってきたので、より水面に近い漁港内(湾内)へ移動を決意。
漁港内も状況は同じでした。仕掛けを入れれば即ヒット。バカバカ釣れましたよ。

マナーの悪い釣り人に遭遇 ホントにムカついた話
無我夢中で釣り続け、気づけばバッカンは魚でいっぱいに。
「そろそろ帰るか」と道具を片付け始めた時のことです。
通りがかりの釣り人(ルアーマン風の男性)が近づいてきました。
『なんか釣れました?』
釣り場ではよくあるコミュニケーションです。私は大漁の喜びを共有したくて、笑顔でこう答えました。
『サッパがたくさん釣れましたよ♪』
すると、その男性はバッカンの中をチラリと見て、鼻で笑うようにこう言い放ったのです。
『サッパw』
その一言と、明らかに小馬鹿にするような態度。
「チッ、外道かよ」と言わんばかりの空気感。
正直、めっちゃ頭に来ました。喉まで出かかった文句をグッと飲み込み、我慢することにしました。ここで言い返してトラブルになれば、せっかくの楽しい釣行が台無しになるからです。
でも、帰宅してからもモヤモヤが晴れません。
各SNSでも意見を聞いてみたけど、サッパ釣りってバカにされないといけないものなの?
今、このブログを書いていても頭にきます(汗)
サッパ(ママカリ)は、岡山県では「飯(ママ)を借りに行くほど美味い」と言われる伝統的な食材です。酢漬けや唐揚げにすれば最高の魚です。
まぁ、クソみたいな釣り人もいるんだなと勉強になりました。
でも、私は絶対にそんな態度は取りません。
最終釣果発表!大漁に釣れたサッパ(ママカリ)
家に帰り、バッカンの中身を全て広げて数えてみました。
その数、なんと139匹!
おおよそ2時間弱でこの釣果です。

サッパ釣りもこれくらい釣れると、もはや「おもしろい」を通り過ぎて、「作業」になってくるんですよね。
最後の方は、海に仕掛けを入れる → ブルブルする → 上げる → バッカンに魚を落とす…という無限ループ。完全に流れ作業w
カツオの一本釣り漁師さんって、こんな気持ちなんでしょうか。
魚との駆け引きを楽しんだり、釣れない時間に考え事をしたり。そういう「間(ま)」があってこそ、釣りって成立するんだなと、贅沢な悩みを抱くことになりました。
139匹のサッパの下処理…地獄の2時間
釣りの後は、現実が待っています。
そう、下処理です。
139匹のサッパの下処理にかかった時間は、おおよそ2時間。
ずっとシンクに向かって立ちっぱなし。腰は砕けそうになるし、水仕事で手はふやけるし…。
釣りって、釣るのにも体力使うけど、帰ってから魚をさばくのにも精神力と体力を使いますよね。
流石に139匹は地獄でした。
全てを一度には食べきれないので、大半は冷凍保存したり、近所の実家にお裾分けしたりしました。
ウロコ取り論争に終止符
今回の下処理で一番大変だったのが「鱗(ウロコ)取り」です。
サッパのウロコは剥がれやすいですが、その分あちこちに飛び散ります。100匹越えとなると効率が命です。いろいろ試してみました。
- 包丁:刃先で取ろうとしましたが、魚が小さすぎて手を切りそうで危ない。NG。
- ペットボトルの蓋:よくある裏技ですが、小さくて持ちにくく、数が多すぎて指が疲れる。NG。
- 専用のウロコ取り:最終的にたどり着いた答え。Amazonで買ったこれが最強でした。
多分これです↓
結局、鱗取り専用に開発された商品が一番取りやすかったです。軽く撫でるだけで鱗が剥がれ、しかも飛び散らない構造になっているので、キッチンを汚さずに済みました。
実食レポート:サッパの唐揚げと禁断のサッパバーガー
苦労して下処理したサッパ。いよいよ実食です。
それで出来たのがこれ↓

サッパの唐揚げです。
もっとカラッと、きつね色に揚げたかったのですが、キッチンで油ハネをさせるのが嫌で…。薄暗い庭にカセットコンロを持ち込んで、アウトドアスタイルで揚げました。
暗くて揚がり具合がよく分からず、少し色が薄いですが、食べてみると絶品!
じっくり二度揚げしたので、骨までサクッといけます。
塩レモンでさっぱり食べるもよし、ウスターソースでガッツリいくもよし。
まあ、ビールが進みました(笑)
禁断のレシピ:サッパバーガー
唐揚げは美味しいですが、こんな小魚じゃ何匹食べてもお腹は満たせません。
そこで思いついたのが、パンに挟んで食べる「サッパバーガー」。

これね、ぶっちゃけて言います。
ソースがうまけりゃ、なんでもうまいんです。
サッパがどうとか、パティの肉汁がどうとか、そんなの関係ありません。
バンズ(パン)、レタス、揚げた魚、そして最強のソース。この組み合わせさえあれば、誰でも自宅でハンバーガー屋さんの味が出せます。
単純にソースがうまけりゃなんとかなるんです。
我が家では、このソース一択です。
「ハインツ (HEINZ)アメリカンスタイル バーガーソース」
これは本当に発明品です。
どんなパンに何を挟んでも、このソースさえあれば「あの有名ハンバーガーチェーン(マック的な)」の味になりますw
酸味とクリーミーさが絶妙で、魚フライとの相性は抜群。これのおかげで、サッパの唐揚げがご馳走に変わりました。超おすすめです。
ダイエットしている身ではあるが…
揚げ物に、ハンバーガー。
現在、私はダイエット中なのですが、この日ばかりはルールを曲げざるを得ませんでした。
でも、自分にこう言い聞かせています。
「釣りはスポーツだ!」
テトラの上を歩き、139回も魚を釣り上げ、2時間立ちっぱなしで魚を捌いたのです。
これはもう、フルマラソン並みの運動量(という思い込み)。
だから、釣りで消費したカロリーを補充しただけの話。そう思い込んで良しとしています。

ダイエットは明日から…
明日からまた頑張ります!
まとめ:赤瀬漁港釣行を終えて
今回の赤瀬漁港での釣りは、単なる「サビキで大漁だった」という話以上に、多くの気づきを得た一日となりました。
- 漁港マナーの重要性:
漁師さんの一言がなければ、私は知らず知らずのうちに迷惑な釣り人になっていたかもしれません。駐車場所への配慮は、釣り人が釣り場を守るための最低限の義務です。 - 道具選びの大切さ:
「アミ姫キララ」の手軽さ、「専用ウロコ取り」の効率性、「ハインツのソース」の破壊力。良い道具を知っているだけで、釣りと料理の質が格段に上がります。 - 人としてのあり方:
他人の釣果をバカにしない。スマートで気持ちの良い釣り人でありたいと強く思いました。
赤瀬漁港は、マナーさえ守れば本当に素晴らしいフィールドです。
サビキ釣りでの大漁、便利な釣りアイテムの活用、釣った魚を使った料理など、釣りの魅力を存分に味わうことができました。
地域の方々や自然環境への配慮を忘れず、これからもマナーを大切にしながら、熊本の海での釣りを楽しみたいと思います。
皆さんも、週末は赤瀬漁港で「サッパバーガー」の具材調達、いかがですか?(笑)
それでは、また次回の釣行記でお会いしましょう!


